【初心者向け】AntigravityでAI社員(専門エージェント)を作成・自動デプロイする方法

AIコーディングアシスタント「Antigravity」を使えば、特定の業務知識を持った「AI社員(専門エージェント)」を作成できます。しかし、Antigravityを使い始めたばかりの方は「AI社員ってどうやって作るの?」「作ったAI社員はどうすれば次回も使えるの?」と疑問を持つのではないでしょうか。

この記事では、Antigravityを使いはじめた初心者の方でも完全に理解できるように、AI社員の基本概念から始まり、一時的な登録方法・恒久的なプラグイン登録・デプロイ自動化まで、ステップバイステップで丁寧に解説します。

この記事で分かること

  • AI社員の基本概念(共通ルールと専門マニュアルの役割分担)
  • チャット内だけで使えるAI社員の定義方法(define_subagent
  • 定義したAI社員に仕事を依頼する方法(invoke_subagent
  • 新しいスレッドでも使える恒久的なAI社員の登録方法(プラグイン方式)
  • 定義ファイルの変更を自動でデプロイする仕組みの作り方

前提条件

この記事を読み進めるにあたり、以下の環境をお持ちであることを前提とします。

  • Antigravityがインストール済みで、チャットが利用できる状態
  • テキストエディタ(VS Codeなど)が使える
  • PowerShellなどのターミナルが使える(コピー用バッチの実行に使用)

AI社員とは?「共通ルール」と「専門マニュアル」の考え方

Antigravityでは、AIの動作を2種類のテキストファイルで制御します。

ファイル現実の会社での例えAntigravityにおける役割
AGENTS.md(共通ルール)就業規則・企業理念(全社員共通)すべてのAIが常に従う基本的なルールや人格の定義
SKILL.md(専門マニュアル)各部署の業務手順書(専門スキル)特定のAI社員が業務を行う際にロードする専門的な行動指針

【補足】AGENTS.md と GEMINI.md について Antigravityでは「共通ルール」ファイルの名前として AGENTS.md が汎用的に使われますが、GEMINI.md も全く同じ役割を持つ同等のファイルです。 Antigravityの前身にあたる「Gemini CLI」(2026年6月18日に個人向けサービス終了)を利用していた環境では GEMINI.md という名前が使われており、Antigravityへの移行後もそのまま利用できます。 本記事では汎用的な名称として AGENTS.md と表記しますが、GEMINI.md を利用している場合も同様の設定が適用されます。

大切なポイント: 「共通ルール(AGENTS.md / GEMINI.md)」には会社全体のルール(言語設定・安全管理など)を書き、「専門マニュアル(SKILL.md)」には各AI社員の専門知識だけを書きます。この2つを分離して管理するのがAI社員設計の基本です。

具体例:IT技術リサーチ担当AI社員

例えば、「IT技術のトレンドを毎回調査してくれるAI社員」を作りたい場合、以下のように役割を分けます。

  • 共通ルール(AGENTS.md または GEMINI.md):「日本語で回答する」「危険な操作の前には必ず確認する」など
  • 専門マニュアル(SKILL.md):「信頼性の高い技術情報源(公式ドキュメント・GitHub等)を優先する」「調査結果は箇条書きでまとめる」など

手順1:チャット内で一時的にAI社員を定義する(define_subagent)

まず最もシンプルな方法として、現在のチャットスレッドの中だけで使える「一時的なAI社員」を登録する方法を説明します。テスト用途や1回限りの業務に最適です。

Antigravityのチャットに以下のように指示すると、AI社員の定義が行われます。

「IT技術リサーチを専門とするAI社員(it-researcher-agent)を、以下の仕様で定義してください。

- 役割:IT技術・ツール・エラーなどの情報をWebで調査してレポートする
- ファイル書き込み権限:不要(調査のみ)
- 外部ツール連携:必要
」

この指示を受けたAntigravityは、内部的に以下のような定義を行います。

{
  "name": "it-researcher-agent",
  "description": "IT技術、ツール仕様、エラー解決などの技術調査・リサーチを行う専門AI社員",
  "system_prompt": "あなたはIT技術リサーチを専門とするAI社員です。信頼性の高い一次情報(公式ドキュメント、GitHub、技術ブログ)を優先して調査し、結果を箇条書きでまとめてください。",
  "enable_write_tools": false,
  "enable_mcp_tools": true
}

ポイント:権限は必要最小限に

AI社員を定義する際に重要なのが「権限の絞り込み」です。

  • enable_write_tools: false → ファイルへの書き込みを禁止(調査員など閲覧のみの役職に設定)
  • enable_write_tools: true → ファイルの作成・編集が可能(開発担当AIなどに設定)
  • enable_mcp_tools: true → Web検索や外部ツールの利用を許可

調査だけするAI社員には書き込み権限を与えないのが安全運用の鉄則です。

手順2:定義したAI社員に仕事を依頼する(invoke_subagent)

定義したAI社員を起動するには、以下のようにAntigravityに指示します。

「it-researcher-agent に、直近1ヶ月のNext.js関連の主要なアップデートを調査させて、変更点をまとめたレポートを作成するよう指示してください。」

この指示を受けると、Antigravityは内部的に以下の処理を行います。

{
  "Subagents": [
    {
      "TypeName": "it-researcher-agent",
      "Role": "Next.jsアップデート調査員",
      "Prompt": "直近1ヶ月のNext.jsの主要なアップデート情報を調査し、変更点・非推奨機能・注意事項を箇条書きでまとめてレポートしてください。"
    }
  ]
}

動作の流れ

  • 指示を受けたAI社員(it-researcher-agent)がバックグラウンドで調査を開始します
  • メインのAntigravityは他の作業を続けながら、完了通知を待ちます
  • 調査完了後、AI社員から完了報告が届き、レポートが提出されます

ポイント: 管理者役のAntigravityがAI社員に指示を出し、AI社員が作業して結果を報告するという「上司と部下」の関係で動作します。

手順3:新しいスレッドでも使える恒久的なAI社員を登録する(プラグイン方式)

手順1・2で登録した一時的なAI社員は、チャットスレッドを閉じると定義が消えてしまいます。

新しいスレッドでも最初から呼び出せるようにするには、「プラグイン方式」で恒久的に登録します。

フォルダ構成の考え方

AI社員の定義ファイルは、以下の2か所で管理します。

【原本管理フォルダ】(編集作業はここで行う)
例: C:\MyProject\ai-company\
├── plugin.json         ← プラグイン全体の定義ファイル
├── agents\             ← 各AI社員の定義ファイルを格納
│   ├── it-researcher-agent.json
│   └── it-developer-agent.json
└── deploy.bat          ← 動作環境へ自動コピーするバッチファイル

【動作環境フォルダ】(Antigravityが読み込む場所)
例: C:\Users\<ユーザー名>\.gemini\config\plugins\ai-company\

この「原本(ソース)」と「動作環境(デプロイ先)」を分離することで、Gitなどでバージョン管理しながら安全に定義ファイルを更新できます。

各ファイルの中身

① plugin.json(プラグインの基本情報)

{
  "name": "ai-company",
  "version": "1.0.0",
  "description": "業務別AI社員プラグイン"
}

② agents/it-researcher-agent.json(AI社員の定義)

{
  "name": "it-researcher-agent",
  "description": "IT技術、ツール仕様、エラー解決などの技術調査・リサーチを行う専門AI社員",
  "system_prompt": "あなたはIT技術リサーチを専門とするAI社員です。信頼性の高い一次情報(公式ドキュメント、GitHub、技術ブログ)を優先して調査し、結果を箇条書きでまとめてください。",
  "enable_write_tools": false,
  "enable_mcp_tools": true
}

手順4:定義ファイルの変更を自動でデプロイする(deploy.bat)

定義ファイルを編集するたびに手動でファイルをコピーするのは手間がかかります。 deploy.bat を使えば、ワンクリックで最新のファイルを動作環境へ反映できます。

deploy.bat の内容例

@echo off
echo AI社員のデプロイを開始します...

set SOURCE=C:\MyProject\ai-company
set DEST=%USERPROFILE%\.gemini\config\plugins\ai-company

:: デプロイ先フォルダがなければ作成
if not exist "%DEST%" mkdir "%DEST%"
if not exist "%DEST%\agents" mkdir "%DEST%\agents"

:: ファイルをコピー
xcopy /E /Y /I "%SOURCE%\plugin.json" "%DEST%\"
xcopy /E /Y /I "%SOURCE%\agents\*" "%DEST%\agents\"

echo デプロイが完了しました!
pause

%USERPROFILE% は Windowsの環境変数で、C:\Users\<ユーザー名> に自動で展開されます。自分のユーザー名を直接書く必要はありません。

実行方法:

& "C:\MyProject\ai-company\deploy.bat"

デプロイ後は、Antigravityを再起動することで新しいAI社員の定義が読み込まれます。

複数のAI社員を定義する例

実際のプロジェクトでは、役割の異なる複数のAI社員を定義することが多いです。以下は構成例です。

AI社員名役割書き込み権限
it-researcher-agentIT技術のWebリサーチ・調査不要(false)
it-developer-agentコーディング・ファイル作成必要(true)
it-blog-writer-agentITブログの記事執筆必要(true)

それぞれ専門マニュアル(SKILL.md)に詳細なルールを記述し、system_prompt でそのファイルを参照させることで、AI社員ごとに専門的な動作をさせることができます。

よくある質問(FAQ)

Q. AI社員に意図しない操作をされるのを防ぐには?

A. enable_write_tools: false を設定してファイル操作を禁止するのが最も効果的です。また、system_prompt で「作業前にユーザーの確認を取ること」と明示することも有効です。

Q. デプロイ後にAI社員が更新されていないように見えるのですが?

A. Antigravityのセッションを完全に再起動してから確認してください。キャッシュが残っている場合、古い定義で動作することがあります。

Q. AI社員に読み込ませる専門マニュアル(SKILL.md)はどう書けばよいですか?

A. SKILL.mdはMarkdown形式のテキストファイルです。「何を優先して調査するか」「結果をどのフォーマットで出力するか」など、人間が新入社員に渡す業務マニュアルをイメージして書くとよいでしょう。

まとめ

Antigravityを使うことで、業務知識を持ったAI社員を柔軟に定義・管理できます。

  • 共通ルールと専門マニュアルを分離 することで、管理がしやすくなります
  • 一時定義(define_subagent でテスト → プラグイン登録 で恒久化 という2ステップで進めるとスムーズです
  • deploy.bat を使えば、定義ファイルの更新・反映を自動化できます
  • AI社員ごとに 権限を最小化 することで、安全に自動化を進められます

まずはチャット内での一時定義から試してみて、動作が確認できたらプラグイン化へと進めてみてください。