
Google Cloud から「[Action Required] Transition your scripts and workflows from gsutil to gcloud storage before Mar 2027」という重要なお知らせメールが届き、対応が必要なのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
Google Cloud CLI(gcloud CLI)パッケージから gsutil コマンドが同梱されなくなる期限が 2027年3月 に設定されました。
この記事では、今回のアナウンスで「対策が必要なユーザーはだれか」「放置するとどうなるのか」、そして「具体的にどのように gcloud storage へ移行・対策すればよいのか」をコマンドの比較例付きで詳しく解説します。
この記事で行うこと
対策が必要なユーザーはだれか?
まず、今回の通知で対応が必要な人と不要な人の条件を整理します。
対応が必要なユーザー
以下のいずれかに該当する環境で Google Cloud を運用している場合、2027年3月まで に対応が必要です。
- シェルスクリプトやバッチ処理で
gsutilコマンドを呼び出している場合- 例:
gsutil cpやgsutil rsyncを使ったバックアップやデータ転送スクリプト
- 例:
- CI/CD パイプライン(GitHub Actions, Cloud Build, CircleCI など)で
gsutilを使っている場合- パイプライン内で Google Cloud SDK / CLI をインストールして
gsutilを実行している構成
- パイプライン内で Google Cloud SDK / CLI をインストールして
- Docker コンテナや VM 内で Google Cloud CLI 同梱の
gsutilを利用している場合
自分が対象か調べる確認コマンド
現在利用している gsutil が Google Cloud CLI(Cloud SDK)に同梱されているものかどうかは、以下のコマンドで確認できます。
gsutil version -l
出力結果の中に以下の表示があるか確認してください。
using cloud sdk: True→ 対応が必要(gcloud CLI同梱版を利用中)using cloud sdk: False→ スタンドアロン版(PyPI経由など)を利用中
対応が不要なユーザー
以下に該当する場合は、特に何も対応を行う必要はありません。
放置した場合のリスク(2027年3月以降に何が起きるか)
2027年3月以降、標準の Google Cloud CLI パッケージを更新すると gsutil が同梱されなくなります。
移行せず放置した場合、以下のようなトラブルが発生するおそれがあります。
- CI/CD やスクリプトで
gsutil: command not foundエラーが発生し処理が停止する - 新規に作成した Docker イメージや開発環境でスクリプトが動かなくなる
自動化パイプラインの突然の停止を防ぐため、余裕を持って移行を進めることが推奨されます。
なぜ gcloud storage への移行が推奨されるのか?
gcloud storage は、gsutil の後継として開発された Google Cloud CLI 標準の Cloud Storage 操作ツールです。単なる代替にとどまらず、以下のような大きなメリットがあります。
- 転送速度が圧倒的に高速
- 新しい並列転送アルゴリズムにより、多数の小規模ファイルや大容量ファイルのアップロード・ダウンロード速度が大幅に向上しています。
- コマンド体系の一貫性
gcloudコマンド(gcloud computeやgcloud run等)と統一された構文やフラグが利用できます。
- 最新機能のサポート
- Soft delete(ソフト削除)や Managed folders(管理対象フォルダ)など、Google Cloud Storage の最新機能に対応しています。
gcloud storage への移行手順(コマンド書き換え比較)
既存のスクリプトで使われている gsutil コマンドを gcloud storage へ書き換える手順を解説します。基本的な使い方は非常に似ています。
主要コマンドの比較一覧
| 操作内容 | 旧:gsutil コマンド | 新:gcloud storage コマンド |
|---|---|---|
| ファイルコピー | gsutil cp local.txt gs://my-bucket/ | gcloud storage cp local.txt gs://my-bucket/ |
| ディレクトリコピー | gsutil cp -r ./dir gs://my-bucket/ | gcloud storage cp --recursive ./dir gs://my-bucket/ |
| ディレクトリ同期 | gsutil rsync -r ./dir gs://my-bucket/dir | gcloud storage rsync ./dir gs://my-bucket/dir --recursive |
| ファイル一覧表示 | gsutil ls gs://my-bucket/ | gcloud storage ls gs://my-bucket/ |
| ファイル削除 | gsutil rm gs://my-bucket/file.txt | gcloud storage rm gs://my-bucket/file.txt |
| バケット作成 | gsutil mb gs://my-bucket | gcloud storage buckets create gs://my-bucket |
オプション指定の主な変更点
- マルチスレッド・マルチプロセス指定(
-m)の廃止gsutil -m cp ...のように指定していた-mフラグは、gcloud storageでは不要です。自動的に最適な並列処理が行われます。
- 再帰的処理(
-r)のロングフラグ化- ディレクトリを対象とする場合、
--recursive(または-r)を使用します。
- ディレクトリを対象とする場合、
継続して gsutil を利用する場合の個別対応
事情により2027年3月以降も gsutil を使い続ける必要がある場合は、gcloud CLI 同梱版ではなくスタンドアロン版の gsutil を個別にインストール・設定します。
PyPI 経由でスタンドアロン版をインストールする手順
Python 環境(pip)を利用して直接インストールします。
pip install gsutil
インストール後、以下のコマンドで設定を行います。
gsutil config
※Docker コンテナや Snap 環境で gsutil を継続利用する場合も、Dockerfile 等で PyPI 経由の明示的なインストール手順へ変更してください。
よくある質問(FAQ)
Q. コマンドを書き換えるだけで動作しますか?
基本コマンド(cp, rsync, ls, rm など)は引数の順序を含めてそのまま置き換え可能です。ただし、特殊なフラグやスクリプト内で gsutil の出力をパースしている場合は、事前にテスト環境で動作確認を行うことをおすすめします。
Q. 移行期限はいつまでですか?
2027年3月 までです。期限までは引き続き同梱版の gsutil も利用可能ですが、Google Cloud は早期の移行を強く推奨しています。
まとめ
今回の Google Cloud からのお知らせに対するポイントは以下の通りです。
- 対象ユーザー:gcloud CLI 同梱の
gsutilをスクリプトや CI/CD で利用している開発者・運用担当者 - 推奨される対策:スクリプト内のコマンドを
gcloud storageへ書き換える - 移行期限:2027年3月まで
早めに gcloud storage へ移行し、高速かつ安全なデータ転送環境へ刷新しておきましょう。

