パスキー対応サービス一覧|証券・銀行の認証方式と設定優先度を解説

証券口座への不正アクセスやフィッシング詐欺の報道を見て、自分が使っている銀行・証券会社のログイン設定を見直したいと感じる方も多いのではないでしょうか。

ただし「パスキー対応」と書かれていても、サービスごとに意味は異なります。Webブラウザで使う標準パスキー(FIDO2 / WebAuthn)もあれば、銀行アプリに端末と生体認証を紐付ける独自の認証もあります。また、パスキーを登録してもパスワードでのログイン経路が残るサービスと、設定によりID・パスワードだけのログインを止められるサービスがあります。

この記事では、資産や本人確認情報に直結する証券会社・銀行を最優先に、主要サービスの認証方式、パスワードだけでログインできる状態を止められるか、設定時の注意点を一次情報にもとづいて整理します。仕様は変更されるため、実際に変更する際は必ず各社の公式案内も確認してください。

この記事でわかること

  • 証券会社・銀行・主要IDの認証方式と、対策の優先順位
  • 「標準パスキー」と「銀行アプリの生体認証」の違い
  • パスキー導入後にもパスワードが残るサービスで行うべき対策
  • 機種変更・端末紛失でログイン不能にならないための確認項目

前提条件・対象読者

  • 最終確認日:2026年10月24日
  • 対象:国内の主要ネット証券・銀行、Google・Apple・MicrosoftなどのID基盤を利用する方
  • ここでの「パスワード単独ログインを止める」は、IDとパスワードだけでの通常ログインを制限できるかを示します。復旧手続きや一時的な代替ログインまで完全になくなることを意味しません。

まず結論:最初に守るべきアカウントの順番

一度にすべてを変更する必要はありません。侵害時の被害と、ほかのサービスを再設定される危険性を基準に、次の順番で見直すのがおすすめです。

優先度対象理由最初に行うこと
Sメール・ID基盤(Google、Apple、Microsoft)パスワード再設定メールやパスキーの保管先になり得るパスキー、2段階認証、復旧用連絡先を確認
S証券会社資産の売買・出金に直結するパスキーまたは多要素認証を登録し、可能ならID・パスワードだけのログインを制限
A銀行預金・振込に直結する公式アプリの生体認証・端末認証を登録し、取引承認を有効化
AキャリアID・決済IDキャリア決済やSMSを使う他サービスにも影響するパスキーまたは端末認証、ログイン通知を確認
BEC・SNS・開発サービスカード情報、ポイント、ソースコードなどの被害を防ぐ固有の長いパスワードと2段階認証を設定

主要サービスの認証対応一覧

「対応」は、現時点で公開されている公式案内に基づくものです。「アプリ生体認証」はWeb標準パスキーとは限らないため、同じ欄に混同せず分けて確認してください。

ジャンルサービス主な認証方式パスワード単独ログインを止められるか設定時の要点
ID基盤Google アカウント標準パスキー、2段階認証不可。パスキー優先にはできるが、パスワードでのログインも可能パスキー、2段階認証、復旧用電話番号・メールを確認
ID基盤Apple Account2ファクタ認証、信頼できるデバイス・電話番号パスワードはアカウント運用上残る信頼できる電話番号を複数確認し、端末の画面ロックを強化
ID基盤Microsoft アカウントパスキー、Authenticatorなど可能。パスワードなしアカウントを設定できる復旧手段を確認してからパスワードなしへ移行
証券SBI証券標準パスキー(FIDO2)、デバイス認証など可能。別途「ログインパスワード無効設定」が必要パスキー登録後にWebサイトとアプリ・ツールの制限設定を確認
証券楽天証券標準パスキー(FIDO2)またはログイン追加認証必須化適用後はパスキーによるログインが必要。障害時には一時的な復旧手段ありパスキー利用端末を複数登録し、ログイン通知も確認
証券マネックス証券標準パスキー必須化適用後はID・パスワードのみでは不可登録済み端末・復旧方法を確認してから必須化に備える
証券松井証券標準パスキー、多要素認証可能。「パスキーでのみログイン」を選択できるパスキーを登録してからログイン方法を限定
銀行三井住友銀行SMBCセーフティパス(アプリの端末・生体認証)登録端末の生体認証をログイン時に要求できる登録端末の紛失・機種変更時の解除手順を確認
銀行三菱UFJ銀行MUFGあんしんパス(アプリの生体認証)あんしんパス登録後は生体認証を通すログインとなる登録は1台。機種変更時は再登録が必要
銀行ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)スマート認証NEO(FIDO準拠)取引承認を登録端末で行える。Web用パスワード自体は別管理PC利用時はQRコードログイン・取引承認の動作を確認
キャリアIDdアカウントパスキー、「いつもパスキー設定」可能。ただし解除には本人確認手順があるパスキー端末設定と連絡先を確認してから有効化
キャリアIDau ID指紋・顔認証ログイン、2段階認証端末認証を基本にし、他端末のパスワードログインは必要時のみ有効化PCから使う必要がある場合は設定の影響を先に確認
キャリアIDSoftBank IDスマホ向けWebの標準パスキーパスキーでのログインに対応。パスワードを無効化できるかは公式案内で確認できず対応OS・ブラウザで登録し、PC利用時の手段も確認
開発GitHub標準パスキー、TOTP、セキュリティキーパスキーでのログインは可能。2FAの復旧手段も必要TOTPを主、パスキーまたはセキュリティキーを予備にする
ポータル・決済Yahoo! JAPAN ID標準パスキー、SMS、ワンタイムパスワード可能。パスワード無効化の案内ありPayPay連携などがある場合はログイン方法を先に確認

証券会社の設定を最優先に確認する

証券会社は、ログイン情報が盗まれた場合に資産の不正売買につながるおそれがあります。パスキーの登録だけで終わりにせず、各社でパスワード経由のログインがどう扱われるかまで確認してください。

SBI証券:パスキー登録後にログインパスワード無効設定を行う

SBI証券では、パスキー認証を設定したあとに「ログインパスワード無効設定」を有効にできます。これによりWebサイトでのユーザーネーム・ログインパスワードによる認証を無効にし、パスキー認証でのログインを求められます。

ただし、アプリやツールのログイン制限は別に扱われる場合があります。パスワードを使う経路を減らしたい場合は、Webサイトの設定だけで完了と判断せず、「アプリ・ツールのログイン制限設定」も確認してください。

楽天証券:パスキー必須化の対象時期と復旧手順を確認する

楽天証券は、パスキー認証またはログイン追加認証を全取引チャネルで必須としています。パスキー認証は2026年6月から顧客ごとに順次必須化されています。パソコンへの保存や複数のパスキーにも対応しています。

一方で、パスキーが利用できないときにログインID・パスワードを一時的に使って復旧する案内もあります。「パスキーを作ればパスワードログインが完全に廃止される」とは一律に考えず、登録済み端末と公式の復旧手順を確認してください。

マネックス証券:必須化の適用状況を口座ごとに確認する

マネックス証券は、2026年6月30日にログイン時のパスキー認証を必須化しました。現在はパスキーでのみログインでき、ログインIDとパスワードだけではログインできません。登録情報照会画面で、パスキーの登録・削除や必須化の状態を確認できます。

端末を失ったときに備え、必須化の前に複数の利用可能な端末を準備できるか、公式の復旧手順を確認しておきましょう。

松井証券:パスキー専用ログインを選ぶ前に予備手段を確認する

松井証券では、2026年6月からパスキー登録を順次必須化しています。登録後は、ログイン方法を「パスキーでのみログイン」に設定できます。一方、パスキーの登録・再登録などではID・パスワードと多要素認証が必要になる場合があります。

「パスキーでのみログイン」にする前に、予備のパスキーまたは復旧の連絡先を確認してください。

銀行はWeb標準パスキーとアプリ認証を区別する

銀行の「顔認証・指紋認証」は、一般的なWebサイトの標準パスキーと同じ仕組みとは限りません。公式アプリに端末と生体認証を紐付け、PCでのログインや振込の際にスマートフォンで承認する方式が多く使われています。

三井住友銀行:SMBCセーフティパス

SMBCセーフティパスは、三井住友銀行アプリに登録した端末での生体認証を使う仕組みです。登録後は、インターネットバンキングのログイン時に生体認証が必要になり、PCなど登録端末以外からログインする場合も登録端末で認証します。

スマートフォンを紛失した場合は解除・再登録が必要になるため、機種変更前に手順を確認することが重要です。

三菱UFJ銀行:MUFGあんしんパス

MUFGあんしんパスは、三菱UFJ銀行アプリの生体認証を使うログイン認証です。公式案内では、登録済みのスマートフォンがない状態では三菱UFJダイレクトにログインできず、PCなどでもスマートフォンの生体認証を経由してログインします。登録できる端末は1台です。

これは安全性が高い一方、機種変更・アプリ再インストールの際は再登録が必要です。旧端末を初期化する前に、新端末で利用登録が完了したことを確認してください。

ドコモSMTBネット銀行:スマート認証NEO

スマート認証NEOはFIDO標準仕様に準拠した、アプリとスマートフォンを紐付ける認証機能です。アプリでのログインや取引承認に生体認証またはPINを使えます。PC取引では、QRコードを読み取り、登録端末で承認するログイン方法もあります。

Webログイン用のユーザーネーム・ログインパスワードと、取引承認は別の層です。パスワードを使わないログイン方法があることと、パスワードそのものが無効になることは別なので注意してください。

パスキーを設定しても、パスワードが不要とは限らない

GoogleやGitHubなどでは、パスキーを作成してもパスワードや復旧用の認証要素がアカウントに残ります。たとえばGoogleは、パスキー作成後に「可能な場合はパスワードをスキップする」をオンにしてパスキー優先にできますが、パスワードでのログイン自体は可能です。

このタイプでは、次の3点をセットで行います。

  • パスワードマネージャーで、サービスごとに長くランダムな固有パスワードを作る
  • SMSだけに頼らず、認証アプリまたは物理セキュリティキーによる2段階認証を有効にする
  • 復旧用メールアドレス、電話番号、バックアップコードを定期的に確認する

GitHubは、TOTP認証アプリを主の2FA方法とし、パスキーまたはセキュリティキーをバックアップに加えることを公式が案内しています。エンジニアにとってはソースコードやトークンに直結するため、優先度Sとして扱うのがおすすめです。

キャリアID・決済IDで見落としやすいポイント

dアカウントの「いつもパスキー設定」は、パスワードでの認証を行わず、端末の生体認証または画面ロックで認証する機能です。利用できないサービスがある場合は設定の解除が必要になることもあるため、全サービスで使えるとは断定できません。

au IDは、指紋・顔認証によるログインを設定した端末以外からログインする必要がある場合に、「パスワードによるログイン設定」を明示的に有効化する仕組みです。PCで利用しない人は、むやみに有効にしないほうが安全です。

SoftBankのパスキー認証は、スマートフォン向けWebブラウザ版のMy SoftBank、My Y!mobile、My Menuに対応しています。対応OS・ブラウザに条件があるため、登録前に現在使っている端末が対象か確認してください。

設定前に確認するロックアウト防止チェックリスト

パスワード単独ログインを止める設定は、フィッシング耐性を高める一方、端末を失ったときに自分もログインできなくなる可能性があります。設定前と機種変更前に、次を確認してください。

  • パスキーまたは端末認証を利用できる端末を、可能な範囲で複数確保しているか
  • 同期型パスキーの場合、iCloudキーチェーン・Googleパスワードマネージャー・パスワードマネージャーのどこに保存されるか理解しているか
  • 銀行・証券アプリの場合、旧端末を初期化する前に新端末でログインと取引承認を確認したか
  • 復旧用の電話番号・メールアドレスが現在も受信できるか
  • バックアップコードが発行されるサービスでは、端末と別の安全な場所に保管したか
  • SMSやメールに記載されたリンクからログイン・承認をせず、ブックマークまたは公式アプリから操作する運用にできているか

よくある質問

パスキーを作ればパスワードは削除できますか?

サービスによります。SBI証券、Microsoft アカウント、dアカウントなどは、所定の設定でパスワード単独のログインを止められます。一方、GoogleやGitHubなどはパスキーを作ってもパスワード・復旧経路が残るため、強い固有パスワードと2段階認証が必要です。

銀行アプリの顔認証はパスキーと同じですか?

同じではありません。Web標準のパスキーは、ブラウザ・OS・パスワードマネージャーで使うFIDO2 / WebAuthnの資格情報です。銀行アプリの生体認証は、アプリに端末を紐付けてログインや取引を承認する独自の仕組みである場合があります。どちらも重要ですが、引き継ぎ・復旧の方法が異なります。

機種変更で最も注意することは何ですか?

旧端末を初期化・下取りに出す前に、新端末でログイン、パスキー利用、取引承認まで実際に確認することです。特に登録端末が1台に限られる銀行の認証では、先に新端末で再登録を完了させてください。

まとめ

パスキー対応は、ログインの安全性を高める有効な対策です。ただし、サービスごとにパスワードが残るか、アプリの端末認証なのか、復旧時に何が必要かが異なります。

まずはメール・ID基盤と証券会社を見直し、次に銀行アプリの生体認証・取引承認を設定しましょう。パスワード単独のログインを止められないサービスでは、固有の長いパスワードと認証アプリによる2段階認証を必ず併用してください。

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参考情報