
Google Cloudから「[Pricing Update] Compute Engine Snapshot Recycle Bin preview and 2027 pricing」という英語の通知メールが届き、戸惑った方も多いのではないでしょうか。
メールには「Default retention: 3 days(デフォルト保持3日)」「Set retention duration to 0 days to disable the feature(0日に設定すると機能を無効化)」といった記載があり、「0日に設定したらバックアップが一切取られなくなるのでは?」と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えすると、この新機能は「削除したスナップショットをごみ箱に残す日数」のことであり、日々の定期バックアップとは完全に別物です。不要なコストを発生させたくない場合は、安心して保持期間を「0日(無効化)」に設定して問題ありません。
この記事では、届いたメールの要点、よくある勘違いポイント、そしてブラウザ上のCloud Shellから1行のコマンドで追加課金をゼロにする設定手順を初心者向けにわかりやすく解説します。
この記事で行うこと
前提条件・対象読者
1. Google Cloudから届いたメールの要点サマリー
2026年9月下旬、Google CloudからCompute Engineの新しいデータ保護機能に関する通知が一斉に送信されました。
メールの主なポイントは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メール件名 | [Pricing Update] Compute Engine Snapshot Recycle Bin preview and 2027 pricing |
| 対象サービス | Google Compute Engine(標準スナップショット) |
| 追加された新機能 | Snapshot Recycle Bin(スナップショットごみ箱機能) |
| デフォルトの挙動 | 削除された標準スナップショットが自動的に3日間ごみ箱に保管される |
| プレビュー期間 | 2026年9月下旬〜(ストレージ料金は100%割引で無料) |
| 一般提供(GA)と課金開始 | 2027年1月下旬〜(ごみ箱内のデータにも標準スナップショットと同額の課金が発生) |
| 設定可能な保持日数 | 0日〜7日間(0日に設定すると即時完全消去となり追加課金なし) |
要約すると、「スナップショットを間違えて削除してしまったときのために、3日間はごみ箱に残して復元できるようにしました。現在は無料ですが、2027年1月下旬からはごみ箱の中身にも通常料金がかかります。不要なら0日に設定してください」という内容です。
2. よくある勘違い:「0日設定」でバックアップが消えるわけではない
メールを読んだエンジニアや管理者が最も混乱しやすいのが、「保持期間(retention)」という言葉の捉え方です。
「日々の自動バックアップの保持期間」と「ごみ箱の保持期間」は全く異なる設定です。違いを整理してみましょう。
| 項目 | 日々の定期バックアップ(Snapshot Schedule) | スナップショットごみ箱(Snapshot Recycle Bin) |
|---|---|---|
| 主な役割 | サーバー故障や障害に備えてデータを定期保存する | 誤ってスナップショットを削除した際の復旧保険 |
| 保持日数の意味 | 「何日前のバックアップまで残しておくか」(例: 7日、14日など) | 「削除されたデータを何日間ごみ箱に残すか」(0〜7日) |
| 0日に設定した場合 | バックアップが一切取られなくなる(危険) | 削除されたデータがごみ箱に残らず即時完全消去される(安全) |
| 今回のメールの対象 | 対象外(これまでの設定のまま変わりません) | 今回のメールの対象(ここを0日に設定します) |
「保持期間を0日に設定する」と聞くと、バックアップ自体が停止してしまうように感じられますが、そうではありません。
これまで通りスケジュールに従って毎日のスナップショットは作成され、期限が切れて削除された際に「ごみ箱を経由せず、今まで通り即座に完全消去される」という挙動になります。そのため、0日に設定しても日々のバックアップ運用には何の影響もありません。
3. どちらを選ぶ?2つの対応方針
このメールに対して、私たちが取れる対応方針は大きく分けて2つあります。
方針A:何もしない(3日保持のまま運用)
Google Cloud全体のデフォルトである「3日間保持」のまま運用する方針です。
方針B:保持期間を「0日(無効化)」に設定する(おすすめ)
追加コストを一切発生させず、完全な0円運用や既存の予算を維持する方針です。
日常的に自動バックアップが取れていれば、ごみ箱に3日間残しておく必要性は低いケースが多いため、多くの方には「方針B(0日設定)」が適しています。
4. 手順:Cloud Shellを使って「0日(無効化)」に設定する方法
それでは、方針Bの「保持期間を0日に設定する手順」を解説します。
PCのローカル環境にコマンドをインストールする必要はありません。Google Cloudの管理画面(ブラウザ)に備わっている「Cloud Shell」を使えば、誰でも1〜2分で完了します。
手順1:Google Cloud Consoleを開きCloud Shellを起動する
- ブラウザで Google Cloud Console(https://console.cloud.google.com/)にアクセスします。
- 画面上部のプロジェクト選択メニューから、メールに記載されていた対象プロジェクトを選択します。
- 画面右上のツールバーにある「Cloud Shell をアクティブにする」アイコン(四角いターミナル風のアイコン
>_)をクリックします。 - 画面下部に黒いターミナル画面が表示されたら準備完了です。
手順2:現在のプロジェクトIDを確認する
Cloud Shellのプロンプトで以下のコマンドを入力し、操作対象のプロジェクトが正しいか確認します。
gcloud config get-value project
実行結果として、メールに記載されていたご自身のプロジェクトIDが表示されれば問題ありません。
手順3:保持期間を0日に設定するコマンドを実行する
以下のコマンドをCloud Shellに貼り付けて実行します。末尾の PROJECT_ID はご自身のプロジェクトIDに置き換えてください。
gcloud beta compute snapshot-recycle-bin-policy update \
--set-rule=default \
--standard-snapshots-retention-duration-days=0 \
--project=PROJECT_ID
コマンドの各オプションの意味は以下の通りです。
※Cloud Shell上で「承認しますか?」というポップアップが表示された場合は「承認」をクリックしてください。
実行後、以下のようなメッセージが表示されれば更新成功です。
Updated [https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/YOUR_PROJECT_ID/global/snapshotRecycleBinPolicy].
手順4:設定が反映されたか確認する
念のため、設定内容が正しく反映されたか確認コマンドを実行してみましょう。
gcloud beta compute snapshot-recycle-bin-policy describe --project=PROJECT_ID
実行結果に以下のように retentionDurationDays: '0' が含まれていれば設定完了です。
rules:
default:
standardSnapshots:
retentionDurationDays: '0'
systemRules:
default:
standardSnapshots:
retentionDurationDays: '3'
Google Cloud全体のシステムルール(3日)に対し、プロジェクトの個別ルールとして 0日 が優先適用されていることが確認できます。
5. 元に戻す方法(再びごみ箱を有効化したい場合)
運用方針が変わり、「やっぱり誤削除防止のために3日間のごみ箱機能を有効化したい」となった場合は、設定したカスタムルールを削除することでいつでも元の状態に戻せます。
Cloud Shellで以下のコマンドを実行します。
gcloud beta compute snapshot-recycle-bin-policy update \
--remove-rule=default \
--project=PROJECT_ID
--remove-rule=default を指定して実行すると、プロジェクト固有の0日ルールが削除され、Google Cloud標準の3日間保持ルールに自動で戻ります。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. すでに保存されている古いスナップショットも消えてしまいますか?
いいえ、消えません。この設定は「今後スナップショットを削除したときの挙動」を決めるものです。現在すでに存在しているスナップショットが勝手に削除されることは一切ありません。
Q2. 毎日動いているスナップショットスケジュールに影響はありますか?
影響はありません。日々の定期バックアップはこれまで通りのスケジュールと保持日数(例: 7日や14日など)で自動生成・自動削除されます。削除されたタイミングでごみ箱に残らず完全消去されるようになります。
Q3. アーカイブスナップショットやマシンイメージも対象ですか?
対象外です。Snapshot Recycle Binが適用されるのは「標準スナップショット(standard snapshots)」のみです。アーカイブスナップショットやインスタントスナップショット、マシンイメージ、ディスク本体などは、これまで通り削除時に即時完全消去されます。
Q4. 設定変更はいつまでに行えばよいですか?
2027年1月下旬に一般提供(GA)となり課金が開始されるため、それまでに設定変更を行えば追加料金は発生しません。ただし、後回しにすると忘れやすいため、メールに気づいた今のうちに設定を済ませておくことをおすすめします。
7. まとめ
Google Cloudから届いた「Snapshot Recycle Bin」に関する通知への対処法を解説しました。
クラウドサービスでは、安全性を高めるための新機能がデフォルトで有効化され、将来的に課金対象となるケースが定期的に発生します。
通知メールが届いた際は慌てず、何が追加され、どの設定を調整すればよいのかを冷静に把握して適切に対処していきましょう。
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